建設業とは|建設業許可基礎知識

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建設業許可基礎知識

建設業とは

建設業について

建設業とは、建設工事の完成を請け負うことをいいます。元請、下請の別を問いません。

家などの建物を建てる際に注文を請ける〇〇建設や□□工務店等が建設業に該当することになります。

建設業の種類には、土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、石工事、電気工事、造園工事などその数は29業種にものぼります。

許可の要否

建設工事の完成を請け負う建設業者は、建設業許可を受けることが義務付けられています。

ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業許可を受けなくてもよいこととされています

「軽微な建設工事」とは、以下の建設工事をいいます。

建設工事一式の場合

  • 工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事(税込みの額)
  • 請負代金に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上の居住の用に供するもの)

建設工事一式以外の場合

  • 工事1件の請負代金の額が500万円未満(税込みの額)の工事

許可を受けるべき者は

建設業許可を受けるべき者は、建設工事を請け負う建設業者です。

発注者から直接工事を請け負う元請人はもちろんのこと、元請人から工事の一部を請け負う下請人の場合でも、個人・法人を問わず全て対象となり、29種類の業種ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければなりません。

また、建設業の許可の必要のない工事であっても、他の法律により登録等が必要な工事もあります。

例えば、

  • 浄化槽工事業を営む場合は、請負金額に関わらず「浄化槽工事業」の登録が必要。
  • 解体工事業を営む場合は、請負金額に関わらず、「解体工事業」の登録が必要。
  • ※ ただし、建設業許可のうち「土木工事業」、「建築工事業」、「解体工事業」のいずれかの許可を受けている場合は登録不要。

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建設業の種類

建設業の種類について

建設業の種類は、29種類あります。

構成としては、2種類の「一式工事」と27種類の「専門工事」となります。

一式工事とは

「一式工事」は、土木一式工事と建築一式工事の2つで構成されており、他の「専門工事」とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事であり、複数の「専門工事」をいわば有機的に組み合わせて建設工事を行うような場合が該当します。

「一式工事」と「専門工事」は全く別の許可業種であり、「一式工事」の許可を受けた業者が、他の「専門工事」を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可を受けなければなりません。つまり、「一式工事」の許可を受けているからといって、全ての工事をカバーしているわけではありませんので注意が必要です。

1.土木一式工事

内容

総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)

例示

橋梁工事やダム工事などを一式として請け負うもの。そのうちの一部のみの請負は、それぞれの該当する工事。

2.建築一式工事

内容

総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事

例示

一棟の住宅建設等一式工事として請け負うもの。建築確認を必要とする増改築など。

3.大工工事

内容

木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事

例示

大工工事、型枠工事、造作工事

4.左官工事

内容

工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事

例示

左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事

5.とび・土工・コンクリート工事業

内容

  1. 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事
  2. くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
  3. 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
  4. コンクリートにより工作物を築造する工事
  5. その他基礎的ないしは準備的工事

例示

  1. とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事、工作物解体工事
  2. くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
  3. 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
  4. コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
  5. 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、道路付属物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

6.石工事

内容

石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事

例示

石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事

7.屋根工事

内容

瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事

例示

屋根ふき工事

8.電気工事

内容

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事

例示

発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

9.管工事

内容

冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事

例示

冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更正工事

10.タイル・れんが・ブロック工事

内容

れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事

例示

コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、石綿スレート張り工事、サイディング工事

11.鋼構造物工事

内容

形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事

例示

鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事

12.鉄筋工事

内容

棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事

例示

鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事

13.舗装工事

内容

道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事

例示

アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事

14.しゅんせつ工事

内容

河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事

例示

しゆんせつ工事

15.板金工事

内容

金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事

例示

板金加工取付け工事、建築板金工事

16.ガラス工事

内容

工作物にガラスを加工して取付ける工事

例示

ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事

17.塗装工事

内容

塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事

例示

塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事

18.防水工事

内容

アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事

例示

アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事

19.内装仕上工事

内容

木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事

例示

インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事

20.機械器具設置工事

内容

機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事

例示

プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事

21.熱絶縁工事

内容

工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事

例示

冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事

22.電気通信工事

内容

有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事

例示

有線電機通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事

23.造園工事

内容

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造する工事

例示

植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事

24.さく井工事

内容

さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備等を行う工事

例示

さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事

25.建具工事

内容

工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事

例示

金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事

26.水道施設工事

内容

上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事

例示

取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事

27.消防施設工事

内容

火災警報設備、消化設備、避難設備若しくは消化活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事

例示

屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報機設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事

28.清掃施設工事

内容

し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事

例示

ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

29.解体工事

内容

工作物の解体を行う工事

例示

工作物解体工事

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建設業許可の種類

建設業許可の種類

建設業許可は、大きく分けて12種類あります。
建設業許可の種類

知事許可と大臣許可

建設業の許可は、都道府県知事又は国土交通大臣のどちらかが行います。

この区分は工事の請負金額や業種の別にかかわらず、営業所の所在地によってなされます。

※ ここでいう「営業所」とは、本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、少なくとも次の要件を備えているものをいいます。

  • 請負契約の見積り、入札、契約締結などの実態的な業務を行っていること。
  • 電話、机、各種事務台帳などを備え、居住部分などとは明確に区分された事務室が設けられていること。
  • 建設業の請負契約の締結等の権限を付与されたものが常勤していること。
  • 専任技術者が常勤していること。

したがって、登記上の本支店で区別されるわけではなく、実態上の要件により営業所か否かの判断がなされます。

知事許可とは

知事許可とは、1つの都道府県の区域内のみに営業所を設ける場合の許可です。なお、1つの都道府県の区域内に2つ以上の営業所を設ける場合も知事許可に含まれます。

大臣許可とは

大臣許可とは、2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合の許可です。例えば、山梨に本店を置いて、東京や大阪に支店(営業所)を設けるような場合が該当します。

工事や営業の制限について

知事と大臣の許可の区分は、営業所の所在地をもってなされるものであるため、どちらの許可であっても、建設工事を施工し得る地域又は営業し得る地域に制限はありません。

一般建設業か特定建設業か

建設業の許可は、その業種ごとに一般建設業と特定建設業の2つに区分され、どちらかの許可を受けなければなりません。なお、同一の業種について一般と特定の両方の許可を受けることはできません。

一般建設業許可とは

一般建設業許可とは、建設工事を下請に出さない場合や、下請に出した場合でも1件の工事代金が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)未満の場合に必要な許可です。

そのため、一般建築業許可のみを所持する建設業者は、発注者から直接請け負った建設工事で、4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の下請契約を締結することはできないことになります。

特定建設業許可とは

特定建設業許可とは、発注者(建設工事の最初の注文者)から直接請け負った1件の工事について、下請代金の額(下請契約が2つ以上あるときはその額)が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる建設工事を施工するときに必要となる許可です。

つまり、発注者から直接請け負ったものでない限り、下請契約金額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上であっても、「特定」の許可を受ける必要はありません。

元請業者以外の第1次・第2次・・・下請業者がさらに下請を出す場合には、契約金額に関わらず特定建設業許可は不要です。

特定建設業許可の指定建設業

「土木工事業」「建築工事業」「管工事業」「鋼構造物工事業」「舗装工事業」「電気工事業」「造園工事業」の7種の業種については、施工技術の総合性などを考慮して「指定建設業」に定められ、特定建設業の許可を受けようとする者の専任技術者は、1級国家資格者、技術士の有資格者又は国土交通大臣が認定した者でなければならないことになっています。

建設業許可の「新規」「更新」「業種追加」

「新規」とは

建設業許可の「新規」とは、新たに建設業許可を受けようとする場合で次のケースが考えられます。

  • 許可を有していない者が、新たに許可を申請する場合
  • 現在有効な建設業許可を国土交通大臣又は都道府県知事から受けていない者が、今回新たに許可申請する場合です。
    例えば、建設業の無許可業者が許可業者となるために新規許可申請をする場合や会社を設立して建設業を営む場合に新規許可申請をする場合などです。

  • 現在受けている許可とは異なる行政庁の許可を新たに申請する場合
  • 現在有効な許可を受けている者が他の行政庁から新たに許可を受けようとする場合です。これを「許可換え新規」といいます。
    例えば、大臣許可を受けている業者が、営業所の閉鎖などにより知事許可に換える場合や、東京都の知事許可を受けている業者が、営業所移転により山梨県の知事許可へ換えたい場合などです。

  • 異なる業種で「特定」と「一般」を申請する場合
  • 例えば、A業で「一般」の許可を受けているが、新たにB業で「特定」の許可を申請する場合などです。これを「般・特新規」といいます。

「更新」とは

建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年間となります。

引き続き建設業を営もうとする場合は、許可の有効期限満了日の30日前までに、許可更新手続きをしなければなりません。

なお、山梨県の知事許可の場合は、許可の有効期間満了日の2ヶ月前から更新申請の受付を開始しています。大臣許可は3ヶ月前から受付開始です。

更新手続きを怠った場合には、許可は自動的に失効しますので注意が必要です。

「業種追加」とは

業種追加とは「一般」である業種の許可を受けている者が、さらに「一般」で既に受けている業種以外の許可を受けようとする場合に必要な許可です。

なお、ある業種の「一般」で許可を受けている者が、他の業種の「特定」で許可を受ける場合には、「般・特新規」になります。

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建築業許可の要件

5つの要件

  1. 経営業務の管理責任者としての経験者がいること
  2. 営業所ごとに専任の技術者がいること
  3. 請負契約に関して誠実性があること
  4. 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用があること
  5. 欠格要件に該当しないこと

※上記要件をすべて備えていることが必要となります。

要件1 経営業務の管理責任者としての経験者がいること

適正に建設業の経営を行うため、許可申請者が法人である場合には「常勤の役員の内1名」が、個人である場合には事業主本人又は支配人が次のいずれかに該当することが必要です。

  • 許可を受けようとする建設業に関して、5年以上経営業務の管理責任者(法人の役員、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人等)としての経験を有していること
  • ※ 「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とは、例えば、支店長や営業所長のことをいいます。個人の場合は、支配人登記をした支配人も含まれます。

  • 許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること
  • 許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務を補佐した経験を有していること
  • ※ ここでいう「補佐」とは、法人では役員に次ぐ建築部長などで、個人では実際に経営補佐をしている妻や子、共同経営者などが該当します。

要件2 営業所ごとに専任の技術者がいること

許可を受けて建設業を営もうとするすべての営業所には、専任の技術者を置くことが必要とされています。

一般建設業の許可を受ける場合

次のいずれかに該当する必要があります。

  1. 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後、許可を受けようとする業種について3年以上、高校等(旧実業学校を含む)の場合、指定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者
  2. 学歴・資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種に係る建設工事について10年以上の実務経験を有する者
  3. 許可を受けようとする業種に関する国家資格を有する者。その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。

※ 「実務経験」とは、具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験のことです。工事現場の雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。

特定建設業の許可を受ける場合

次のいずれかに該当する必要があります。

  1. 許可を受けようとする業種に関する国家資格(1級の国家資格者)や免許を有する者
  2. 上記一般建設業の要件1~3のいずれかに該当し、かつ元請として消費税を含む4,500万円以上の工事(平成6年12月28日前にあっては3,000万円、昭和59年10月1日前にあっては1,500万円以上の工事)について2年以上指導監督的な実務経験を有する者
  3. 国土交通大臣が1又は2に掲げる者と同等以上の能力を有する者と認めた者
  4. 指定建設業(土木工事業、建築工事業、観光事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、電気工事業、造園工事業の7業種)については1又は3に該当するものであること

※ 「指導監督的な実務経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任又は工事現場監督のような立場で、工事の技術面を総合的に指導した経験をいいます。

要件3 請負契約に関して誠実性があること

許可を受けようとするものが法人の場合はその法人、役員、支店長、営業所長等が、個人の場合は、事業主本人又は支配人が請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。

建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等で「不正」又は「不誠実な行為」を行ったことにより免許の取り消し処分を受け、あるいは営業の停止などの処分を受けて5年を経過しない者は、誠実性の無いものとして扱われます。

  • 不正な行為
  • 請負契約の締結又は履行に際して詐欺、脅迫、横領などの法律に違反する行為

  • 不誠実な行為
  • 工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為

要件4 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用があること

財産的基礎または金銭的信用を有していることの要件は、許可を受けようとする業種が「一般」あるいは「特定」により、次のとおりとなります。

一般の場合

許可を受けようとする業種が一般の場合、次の1~3のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 純資産の額が500万円以上あること
  2. 500万円以上の資金調達能力があること
  3. 許可申請直前の過去5年間について許可を受けて継続して建設業を営業を営業した実績のあること(更新申請の場合のみ)

特定の場合

許可を受けようとする業種が特定の場合、次の1~4のすべてに該当しなくてはなりません

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること
  3. 資本金が2,000万円以上あること
  4. 純資産の額が4,000万円以上あること

要件5 欠格要件に該当しないこと

許可を受けようとする者(法人の役員、個人事業主本人等)が、以下の要件に該当しないことが必要です。

  • 許可申請書又はその添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があるとき。または、重要な事実の記載が欠けているとき。
  • 成年費後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
  • 不正の手段により許可を受けたことなどにより、その許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者
  • 許可を取り消されるのを避けるために廃業の届け出をした者で、その届け出の日から5年を経過しない者
  • 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれがあるとき
  • 請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
  • 禁固以上の刑に処せられ、その計の執行を終わり、又はその計の執行を受けなくなった日から5年を経過した者
  • 法令(建設業法、建築基準法、労働基準法等)に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
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建設業許可取得後の留意事項

標識の提示

建設業のの許可を受けた者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、次の標識を必ず掲げなければならないとされています。

店舗に掲げる標識

建設業者の店舗に掲げる標識
縦35㎝以上横40㎝以上

建設工事の現場に掲げる標識

建設工事の現場に掲げる標識
縦25㎝以上横35㎝以上

帳簿等の備付け

建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならないこととされています。

帳簿の記載事項

  • 営業所の代表者の氏名及び就任年月日
  • 請負契約に関する事項
    • 建設工事の名称及び工事現場の所在地
    • 請負契約締結年月日、注文者の商号、名称又は氏名及び住所並びに許可番号(注文者が建設業の許可を受けている者である場合)
    • 建設工事の完成検査の完了した年月日及び引渡しをした年月日
  • 住宅を新築する請負契約に関する事項
    • 当該住宅の床面積
    • (共同請負の場合の)瑕疵担保負担割合
    • (保険加入している場合の)保険法人の名称
  • 下請契約に関する事項(元請のみ)
    • 下請させた建設工事の名称及び工事現場の所在地
    • 下請契約年月日、下請人の商号又は名称及び住所並びに許可番号(下請人が建設業許可を受けている者である場合)
    • 建設工事の完成検査の完了した年月日及び引渡しを受けた年月日
    • 上記下請契約が特定建設業者が注文者となった下請契約であるときは、次に掲げる事項
      • 支払った下請代位金の額、支払った年月日及び支払手段
      • 下請代金の支払に就き手形を交付したときは、その手形の金額、交付日及び手形の満期
      • 下請代金の一部を支払ったときは、その残額
      • 遅延利息を支払った場合は、その遅延利息の額及び遅延利息の支払日

添付書類

  • 対象建設工事の契約書(変更契約書を含む)若しくはその写し又は電磁的記録
  • 特定建設業者が注文者となった下請契約に該当する場合は、当該支払の領収書又はその写し
  • 請け負った建設工事が、施行体制台帳を作成しなければならないものであるときは、当該施行体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分
    • 管理技術者の氏名・資格、専門技術者の氏名・資格・担当工事内容
    • 下請負人の名称、許可番号(下請負人が建設業の許可を受けている者である場合)
    • 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期
    • 下請負人が置いた主任技術者の指名・資格、専門技術者の氏名・資格・担当工事内容

営業に関する図書

  • 完成図
  • 発注者との打合せ記録
  • 施工体系図(特定建設業者であって作成義務のある場合)

帳簿の記載方法

建設工事ごとに記載し、変更があった場合にも遅滞なく記載する必要があります。

帳簿の保存期間

請け負った建設工事の目的物の引き渡しの日から5年間です。(引き渡し後も債権債務がある場合は、債権債務が消滅した日から5年間。)

ただし、住宅を新築する建設工事の場合は10年間の保存が必要です。

営業に関する図書の保存期間

請け負った建設工事の目的物の引き渡しの日から10年間です。

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建設業許可と関連業種

建設業許可と浄化槽工事

登録と届出について

浄化槽工事業(1件500万円未満の工事に限る。)を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。

ただし、土木工事業、建築工事業又は管工事業の許可を受けている者で、浄化槽工事業を営もうとするものについては、営業所ごとに浄化槽設備土を設置した上、浄化槽工事を施工しようとする都道府県知事ごとにそれぞれに特例浄化槽工事業者届出書を提出しなければなりません。(この場合の浄化槽工事請負金額には、制限はありません。)

申請先

提出場所 山梨県 県土整備部 県土整備総務課 建設業対策室
甲府市丸の内1-6-1 北別館3階
連絡先 TEL 055-237-1111(代表)(内線:7082,7083)
   055-223-1843(直通)
受付 月~水曜日の午前9時~11時、午後1時~4時
※ 年末年始、年度末年度始は受付不可の場合あり

建設業許可と解体工事

登録について

解体工事業(1件500万円未満の工事に限る)を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事に建設工事に係る資材の際し原価等に関する法律に基づく登録をしなければなりません。

ただし、建設業法に基づく土木工事業、建築工事業又はとび・土工工事業の許可を受けた者が解体工事業を営む場合には、当該登録は不要になります。

なお、この場合であっても、1件500万円以上の解体工事については、許可を受けている各工事業に属する工事しか請け負うことができません。例えば、土木工事業の許可を受けている業者が、建築一式工事とみることができる1件の請負代金の額が500万円以上の建築物の解体工事を請け負うことはできません。

申請先

提出場所 山梨県 県土整備部 県土整備総務課 建設業対策室
甲府市丸の内1-6-1 北別館3階
連絡先 TEL 055-237-1111(代表)(内線:7082,7083)
   055-223-1843(直通)
受付 月~水曜日の午前9時~11時、午後1時~4時
※ 年末年始、年度末年度始は受付不可の場合あり

建設業許可と電気工事

建設業の許可を受けて電気工事業を営もうとする者は、電気工事業法に基づく届出が必要になります。
詳しくは、次のお問い合せ先にお問い合せ下さい。

お問合せ先 山梨県 総務部 消防防災課 保安管理担当
連絡先 TEL 055-223-1434(直通)
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建設業許可番号の継承

継承について

建設業法に基づく許可は一身専属的なものであり、譲渡や相続の対象にはなりません。

このため、許可を受けて建設業を営む個人事業主が新たに法人を設立して建設業を営もうとする場合、あるいは、個人事業主として許可を受けていた者が死亡又は引退した場合で、その配偶者又は子息等が後継者として引き続き建設業を営もうとするときには、新規の許可を受ける必要があります。

また、許可を受けても、原則として、許可番号は法人や後継者には継承されません。

しかし、一定の要件を満たす場合には、例外的に許可番号の継承が認められる場合があります。

個人事業主の法人成り

次の7つの要件をすべて満たす場合には、営業の同一性が認められるとして、例外的に許可番号の継承が認められています。なお、この場合でも、申請手続きは、「個人の廃業届」を行った上で「法人の新規申請」をすることになります。

【営業の同一性】

  1. 個人事業主の建設業許可の有効期間満了の日前30日までの新規申請であること。
  2. 個人事業主が設立法人の代表者になっていること。
  3. 個人事業主時の営業に係る債権債務が設立会社に中断なく引き継がれ、営業の同一性が保たれた継承であること。(要確認書類)
  4. 商号が外見上個人事業主時の名称と社会通念上同一と認められること。
  5. 主たる営業所の所在地が法人設立の前後で同一であること。
  6. 法人設立後3ヶ月以内の新規申請であり、かつ、法人の最初の決算期前であること。
  7. 個人事業主が最大の出資者の一人となっていること。

事業継承

経営業務を補佐した経験のある配偶者又は子息等が次の7つの要件をすべて満たす場合に限り、例外的に許可番号の継承が認められています。なお、この場合でも、申請手続きは、「個人の廃業届」を行った上で継承者が「新規申請」をすることになります。

【事業継承】

  1. 旧事業主の建設業許可の有効期間満了の日前30日までの新規申請であること。
  2. 旧事業主が死亡等(心身の障害により業務に耐えられない場合を含む)又は引退(満65歳以上)となった場合であること。
  3. 新事業主に、旧事業主を補佐して6年以上、許可を受けようとする建設業に従事していた実績があること。(要確認書類)
  4. 新事業主が旧事業主の事業継承者であること。
  5. 旧事業主の営業に係る債権債務が中断なく引き継がれ、営業の同一性が保たれた継承がなされていること(要確認書類)
  6. 商号が継承の前後で同一であること。
  7. 主たる営業所の所在地が継承の前後で同一であること。
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建設関係の国家資格試験実施機関

一覧表

資格名 実施機関(問合せ先)
建設機械施工技士
(1級・2級)
(社)日本建設機械化協会(試験部)
東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館
TEL 03-3443-6141 URL http://www.jcmanet.or.jp/
●土木施工管理技士
(1級・2級)
●管工事施工管理技士
(1級・2級)
●造園施工管理技士
(1級・2級)
(財)全国建設研修センター(試験業務局)
東京都千代田区永田町1-11-30 サウスヒル永田町ビル
TEL 03-3581-0847 URL http://www.jctc.jp/
〇建築施工管理技士
(1級・2級)
〇電気工事施工管理技士
(1級・2級)
(財)建設業振興基金(試験研修本部)
東京都港区虎ノ門4-2-12 虎ノ門4丁目MTビル2号館3F
TEL 03-5473-1581 URL http://www.kensetsu-kikin.or.jp/
建築士
(1級・2級・木造)
(財)建築技術教育普及センター【1級】
東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング
TEL 03-5524-2176 URL http://www.jaeic.or.jp/
(社)山梨県建築士協会【2級・土木】
山梨県甲府市丸の内1-14-19 山梨県建設業会館
TEL 055-233-5414 URL http://www.ykenchikushi.org/
技術士 (社)日本技術士会 技術士試験センター
東京都港区虎ノ門4-1-20 田中山ビル8F
TEL 03-3459-1333 URL http://www.engineer.or.jp/
■電気工事士
(1種・2種)
■電気主任技術者
(1種~3種)
(財)電気技術者試験センター
東京都中央区八丁堀2-9-1 秀和八重洲ビル8F
TEL 03-3552-7651 URL http://www.shiken.or.jp/
消防設備士
(甲種・乙種)
(財)消防試験研究センター 山梨県支部
山梨県甲府市塩部2-2-15 湯村自動車学校内
TEL 055-253-0199 URL http://www.shoubo-shiken.or.jp/branch/18yamanashi/
技能士
(1級・2級)
山梨県職業能力開発協会
山梨県甲府市大津町2130-2
TEL 055-243-4916 URL http://www.yavada.jp/
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建設工事受注時の留意点

書面による契約

請負契約は、民法上いわゆる諾成契約とされていますので、口頭の約束でも有効に成立しますが、それでは契約内容が不明確、不正確で、後日の紛争の原因ともなります。

そこで、建設業法では、建設工事の請負契約の締結に際しては、次の事項を書面に記載して、署名又は記名押印して相互に交付しなければならないとし、権利義務関係を明確にしなければならないとしています。

なお、請負契約の内容で、次に掲げる各事項において変更が生じた場合は、その変更の内容を書面に記載し、署名又は押印をして相互に交付しなければなりません。

  • 工事内容
  • 請負代金の額
  • 工事着工の時期及び工事完成の時期
  • 請負代金の前金払い又は出来高払いの定めをするときは、その支払時期と方法
  • 設計変更、工事着手の延期又は工期の変更、請負代金の変更、損害の負担及びこれらの算定方法に関する定め
  • 天災等不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法
  • 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  • 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における損害金の負担に関する定め
  • 注文者が資材を提供し、又は建設機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  • 工事完成検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  • 工事完成後における請負代金の支払時期及び方法
  • 工事目的物の瑕疵担保責任又はその責任の履行に関して講ずべき措置に関する定めをするときは、その内容
  • 履行の遅滞、債務不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害賠償金
  • 契約に関する紛争の解決方法

契約の内容

建設工事の請負契約は、対等公正の原則に基づいて当事者の合意で決められるべきものとされていますが、実際には、発注者と受注者の力関係により必ずしも原則どおりにはいかないことがあります。

そこで、具体的に契約の内容としてはどのようにすべきかについて、中央建設業審議会では、公共工事標準請負契約約款、民間工事標準請負契約約款等を定めて、官公庁、建設業団体などに勧告していますので、できる限りこれに従って対等公正な契約内容にすることが求められています。

  建設工事標準請負契約約款について

注文者の義務

不当に低い請負代金の禁止

建設業法では、請負人が低価格の請負契約を強いられることを廃除し、適正な施工が確保できるようにする観点から、注文者がその取引上の地位を不当に利用し、その工事に通常必要と認められる原価に満たない額で請け負わせてはいけないこととされています。

不当な使用資材などの購入強制の禁止

注文者は、請負契約の締結後、事故の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材、機械器具又はこれらの購入先を指定したり、これらを請負人に購入させて、その利益を害することも、建設業法では禁止されています。

見積り期間の設定

適正な請負価格を設定することにより建設工事の合理的かつ適正な施工を確保するためには、あらかじめ契約内容となるべき重要事項を建設業者に示し、適切な見積期間を設けて見積りの見落し等の問題が発生しないよう検討する期間が必要になります。

そこで、建設業法では、建設工事の注文者は、請負契約の内容について、できるだけ具体的に提示し、かつ、一定の見積り期間を設けなければならないとしています。

受注者の義務

見積書の作成と提示

適切な見積りは、適正な請負価格を設定することにより建設工事の合理的かつ適正な施工を確保する上で不可欠です。

そこで、建設業法では、建設業者は、建設工事の請負契約を締結する際には、工事内容に応じ、工事の種類ごとに材料費、労務費その他経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならないこととされています。

前払金の際の保証

建設工事では、着工に際して相当の資金を必要とすることなどから、前払金をすることがありますが、そのとき注文者から保証人の請求があれば、受注者は500万円未満の軽微な工事を除き、金銭保証人又は工事完成保証人を立てたり、前払金保証会社による前払金の保証(公共工事の場合)を受けたりしなければならないこととされています。

現場代理人の選任などの通知

受注者は、工事現場に現場代理人を置くときは、その現場代理人の権限、注文者がその現場代理人の行為について受注者に意見を申し出る方法を、注文者に書面で通知しなければなりません。

一括下請負の禁止

建設工事の発注者が、受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度から当該建設業者の評価をするものであり、受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者の信頼を裏切ることになります。

また、一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任に不明確化等が発生するとともに、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くことにもなりかねず、建設業の健全な発展を阻害するおそれがあります。

このような観点から、建設業では、建設業者は、その請け負った建設工事を、一括して他人に請け負わせてはならないとしています。

なお、当該建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合には、一括下請負も例外的に許容されますが、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に規定する公共工事の場合、一括下請負は全面的に禁止されているので注意が必要です。

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建設工事施工時の留意点

施工体制台帳及び施工体系図の作成

特定建設業者が、発注者から直接請け負う元請となって、4,000万円(建設一式工事の場合は、6,000万円)以上を下請に出すときは、下請、孫請などその工事に関わるすべての業者名、それぞれの工事内容、工期などを欠いた施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え付けなければならないほか、下請に対して再下請通知をしなければならない旨を通知し、かつ、工事現場の見やすいところに、元請である特定建設業者の名称と再下請通知書の提出先を提示しなければなりません。

また、その特定建設業者は、発注者から請求があれば、工事現場ごとに備えた施工体制台帳を、発注者に閲覧させなければなりません。

さらに、入札契約適正化法に規定する公共工事についてはその写しを、発注者に必ず提出しなければなりません。

さらにまた、その特定建設業者は、施工体制台帳や下請業者からの再下請の通知をもとに、各下請の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、工事現場の見やすい場所に提示しておかなければなりません。

工事現場への技術者の配置

主任技術者

建設工事の適正な施工を確保する観点から、建設業者は、請け負った建設工事を施工する工事現場に、当該工事の施工の技術上の管理をつかさどる「主任技術者」を配置することとされています。

このため、建設業者は、許可区分の特定、一般を問わず、また、元請、下請を問わず、さらに請負代金の額にかかわらず、すべての工事現場に主任技術者をおかなければなりません。

監理技術者

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の額が4,000万円(建築一式工事の場合は、6,000万円)以上になる場合においては、主任技術者に代えて「監理技術者」を配置することとされています。

主任技術者、監理技術者の現場専任制度

公共性のある工作物に関する工事(個人住宅を除くほとんどの工事が該当)で請負代金の額が3,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事を施工しようとする場合、工事現場に配置しなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、「専任の者」でなければならないとされています。

監理技術者資格者証

専任の者でなければならない監理技術者は、「監理技術者資格者証」の交付を受け、監理技術者資格講習を受講した者でなければならないとされています。

また、発注者から請求があれば、その「監理技術者資格者証」を提示しなければならないとされています。

なお、この「監理技術者資格者証」に関する内容に関しては、一般建設業の許可を受けている者に対しては適用されません。

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